出会い系サイトに欠けている細やかなサービスを武器に
急成長をとげる新業態
●合コンをビジネスに
合コンのセッティングというユニークな事業を手掛ける『オフィス・ラッシュ』は、こうした仲介型の出会いビジネスで成功している代表例だ。
合コン相手を探し出すのはもちろん、会場の設定や予約まで請け負う。つまり通常の合コンにおける幹事の役割を、一手に代行しているわけだ。
窓口は自社サイト(http://www.rush01.com)。しかし、サイト上で直接合コン相手と連絡は取れない。
利用者は、まず同社のサイト上に「年齢」「特徴」「合コンしたい相手の特徴」といったプロフィールを登録。その後サイト上のリストから好みの異性グループを選び、同社宛にメール。同社は指名されたグループに対してその旨を伝達。双方の好み、スケジュールが合えば、申し込まれたグループが同社へ「了解」のメールを送り、同社が提携するレストランに予約。当日を迎える、という仕組みだ。スタッフは同行せず仲介に徹する。
 登録は無料で、料金は合コン1回につき男性1人6000円、女性1人3500円。(セッティング料+飲み放題+お料理全て含む その他費用は一切必要ナシ)合コン決定後、利用者は同社の銀行口座に1週間以内に振り込む。現在、同社の登録利用者は男女あわせて1500組以上。97年のスタートから、累計で2万人以上の出会いをプロデュースしてきた。今では、コンスタントに月100件以上の合コンを手掛けている。「お見合いパーティや1対1の出会いビジネスは、すでにありましたが、弊社のような合コン形式での出会いはすき間だったのです」とオフィスラッシュの水野真由美代表は成功理由を自己分析する。

●出会い系サイトは「ちょっと怖い」結婚相談所に行くほど「焦ってない」

水野代表は、この合コンセッティング業のビジネスシーズを「周囲の声から見出した」という。
大学卒業後、水野代表は大手メーカーでSE・インストラクターとして勤務。95年には会社を辞め、同じ業務でSOHOとして独立していた。一方でOL時代からアルバイトとして継続していたのが、イベントやブライダルの司会業だった。ブライダルの司会では原稿作成の事前取材として新郎新婦に2人の生い立ちや馴れ初め等を聞く。その際、出会いのきっかけを聞くと大半の新郎新婦が「飲み会」「友人の紹介」と答えた。「ところが、当時20代後半だった私の周辺の男女といえば『出会いが無い』『理想の人に巡り会えない』と嘆く人ばかり(笑)。そんな人たちに飲み会や紹介の場を与えれば、すてきな出会いの機会が増えるはず、と考えたのです」(水野代表)

もっとも、当時は「事業化など頭に無く遊び半分だった」という。そのため、友人や元同僚を中心にクチコミで合コンをセッティングするに止まっていた。ところが友人の知人、そのまた友人…と瞬く間に合コン希望者の輪が広がった。
スタート1年で利用者数は1000人を超えたという。
「『これはビジネスになる』と感じ、本業にすることを決めました。その後チラシを配ったり、フリーペーパーの広告で認知度を上げつつ、97年末に自社サイトを立ち上げたのです」(水野代表)
想像以上に幅広い層が合コンに対するニーズを持っていたことも、水野代表を後押しした。
「最初は『合コンの参加者なんて20代前半〜中盤に限られるだろうな』と思っていた。でもいざフタをあけると真剣に結婚を考える層、30代中ばくらいの参加者がすごく多かったんです」(水野代表)

(中略)

若い男女が、異性との出会いを求めるのは当然だろう。しかし、実際は30代以上の独身男女のほうがその欲求は強い。結婚を意識し始めるも、その頃には合コンのツテも出尽くし、出会い自体が少ない。だからといって出会い系サイトは「怖い」。結婚相談所やお見合いパーティはあるが「切羽詰まっている」とも思われたくない……。同社が仲介する合コンは、まさにそんな男女の微妙ながらも切実なニーズを汲む、貴重な場として機能したわけだ。合コン当日はスタッフも立ち会わないため、傍目には業者の仲介を利用した合コンとは分からない。また仲間同士の参加だから、1対1の出会いと比べ、格段に安全で、気楽だ。

●女性SOHOネットワークを活用して!
もっとも、すき間のニーズを掴んだことだけが、オフィスラッシュの成功要因ではない。
合コン形式の出会いを扱う競合が増えた今も、同社が伸びている要因は、むしろその運営法にあるようだ。
まずは「ローコストで運営できる体制を創り出している」ことだ。同社の窓口はサイトのみ。
同社のスタッフは15名は全てSOHOで動いている。
「前職のプログラミングを手掛けていた際に培ったSOHOネットワークがそのまま活かせました。それまでのデータ入力よりも時給がいいし、何よりモチベーションが大きく違う」(水野代表)
スタッフは、全員深いパソコン知識を持っている。サイト作成や顧客データベースも全て内部でできるため、コストを抑えられた。

もう1つは「スタッフ全員が顧客と同世代の女性である」こと。
とくに女性は、出会いに限らず通販も含めネットに懐疑心を持つ人が多い。しかし同社は、サイト上スタッフのプロフィールから写真まで掲載。OLや主婦、同社の合コンOBもいて、安心して依頼できる雰囲気に溢れている。
「また女性は、基本的にメールや恋愛相談が好きですよね(笑)。合コンに顔を出すような深入りはしませんが、メールでは希望の相手がみつかるまでとことんやりとりするし、後のフォローも欠かさない。黙っていてもスタッフたちはこうしたやりとりを親身にやってくれる」(水野代表)
例えメールでも、恋愛問題をベースにしたやりとりを交わすうち、顧客とスタッフの信頼関係はずっと密になる。9割がリピーターだというのも、こうした親身な接客が功を奏した結果だろう。また、認知されたブランドを活かし「バツイチOK」を強く打ち出した合コンも開催。
出張のネイルサービス業者と組み、ブラッシュアップを請け負う事業も展開中である。

男女の出会いという、深い部分に携わるビジネス。きめ細かなサービスによって、顧客の信頼を勝ち取れば、その後の拡がりは無限のようだ。